作品解説

集英社少年向け漫画雑誌週刊少年ジャンプ』に1986年から2004年まで、2005年からは集英社青年向け漫画雑誌『ウルトラジャンプ』に長期にわたって連載されている。シリーズの単行本は100巻を越え、2016年12月時点でシリーズ累計発行部数は1億部を突破している[1]。2006年の文化庁による文化庁メディア芸術祭10周年記念アンケート企画、「日本のメディア芸術100選」にてマンガ部門で2位に選ばれた[2]

作品全体のテーマは「人間讃歌[注 1]。仲間たちとの絆・強敵との死闘など少年漫画の基本を押さえながらも、個性的な表現方法とホラーサスペンス的な不気味さで独自の世界観を築き上げており、その作風は「王道を行きながら実験的」と評されている[4][5]。少年誌にして「大人向け」といえる作風であり、荒木自身も「子ども向けに描いてはいない」と発言している。

メディア展開はおおむね各部ごとに行われており、アニメ化やゲーム化、小説化、映画化などが行われている。

外伝作品も複数発表されており、Part4のサブキャラクターを主人公に据えた『デッドマンズQ』『岸辺露伴は動かない』の2本は短編集『死刑執行中脱獄進行中』に収録されている。『露伴』はシリーズ化し、他紙に出張したり派生もしている。他作者によるスピンオフ作品も複数ある。

そのほか、番外編『オインゴとボインゴ兄弟 大冒険』(文庫本・全1巻)もある。これはPart3の作中作であるボインゴの漫画自体を独立させ、岸辺露伴の解説をつけるなど実物の漫画作品としたものであり、Part3の文庫に合わせて刊行されたが、その後は絶版になっている。

25巻(Part3、ダービー弟戦)から、全ての漢字にルビが振られるようになった(正確には、漢数字を除く)。

あらすじ

ジョースター一族と、邪悪な吸血鬼と化したディオやその後継者たちが、1世紀以上に亘って繰り広げる戦いを描く大河群像劇である。

単独の人物を主人公としておらず、主人公が変わるごとに「第○部(○部分に数字)」と部数が進み、作品のサブタイトルも変わる形式を採用している。主人公が変わるだけでなく、作品の舞台やジャンルも各部ごとに変化している。

シリーズ構成

現在までにPart1からPart8までの8部が発表されている。各部にはPart6(第6部)執筆時以降に副題が与えられており、以下の通りに構成されている。

なお、Part7『スティール・ボール・ラン』は当初、『ジョジョの奇妙な冒険』とは無関係な新作として扱われていた。2005年に掲載誌を『ウルトラジャンプ』に移してからは、正式にPart7として扱われている。続くPart8『ジョジョリオン』以降は連載当初から『ジョジョの奇妙な冒険』として扱われている。

Part
(Parte)
副題(日本語) 副題(英語)
(Parte5のみイタリア語)
連載時のサブタイトル 作品ごとのジャンル[要出典] 単行本収録巻 発表期間等
(掲載誌)
Part1 ファントムブラッド Phantom Blood 第一部 ジョナサン・ジョースター ―その青春― ホラー・アドベンチャー 第1巻 - 第5巻 1986年12月2日 - 1987年10月26日
(週刊少年ジャンプ)
Part2 戦闘潮流 Battle Tendency 第二部 ジョセフ・ジョースター ―その誇り高き血統 バトル・アドベンチャー 第5巻 - 第12巻 1987年11月2日 - 1989年3月13日
(週刊少年ジャンプ)
Part3 スターダストクルセイダース Stardust Crusaders 第三部 空条承太郎 ―未来への遺産― アクション・アドベンチャー 第12巻 - 第28巻 1989年3月20日 - 1992年4月14日
(週刊少年ジャンプ)
Part4 ダイヤモンドは砕けない Diamond is Unbreakable 第4部 東方仗助 サスペンス・ホラー 第29巻 - 第47巻 1992年20号 - 1995年51号
(週刊少年ジャンプ)
Parte5
(Part5)
黄金の風 VENTO AUREO
英語圏:Golden Wind)
第5部 ジョルノ・ジョバァーナ 【黄金なる遺産】 バトル・アドベンチャー 第47巻 - 第63巻 1995年52号 - 1999年17号
(週刊少年ジャンプ)
Part6 ストーンオーシャン Stone Ocean 第6部 空条徐倫 ―『石作りの海』(ストーンオーシャン アクション・アドベンチャー Stone Ocean 第1巻 - 第17巻
(通算第64巻 - 第80巻)
1999年12月7日 - 2003年4月8日
(週刊少年ジャンプ)
Part7 スティール・ボール・ラン STEEL BALL RUN なし ホラー・アドベンチャー STEEL BALL RUN 第1巻 - 第24巻
(通算第81巻 - 第104巻)
2004年1月19日 - 2011年4月19日
(週刊少年ジャンプ,ウルトラジャンプ)
Part8 ジョジョリオン JoJolion なし サスペンス・ホラー ジョジョリオン 第1巻 - 第27巻
(通算第105巻 - 第131巻)
2011年6月号 - 2021年9月号
(ウルトラジャンプ)

Part1『ファントムブラッド

舞台は1888年イギリス。英国の青年貴族で強い正義感と勇気を持つ主人公ジョナサン・ジョースターと、下層階級の出身ながら類稀なカリスマ性と野望の持ち主ディオ・ブランドーの抗争劇。
「石仮面」や「波紋」を背景に、2人の成長や対立が描かれている。

Part2『戦闘潮流

舞台は1938年のアメリカ。再び世界大戦の足音が聞こえ始めた中で、ジョナサンの孫のジョセフ・ジョースターもジョナサンと同じく「波紋」を身に付けていた。
そんな中、人類を遥かに凌駕する知的生物「柱の男」たちが発掘される。人類の脅威となりうる「柱の男」を倒すため、ジョセフたちは各地を奔走する。

Part3『スターダストクルセイダース

舞台は1988年[6]。100年の時を経て、ジョナサンの肉体を乗っ取ったDIO(ディオ)が復活した。
それと共鳴するかのようにジョセフの孫の空条承太郎に、幽波紋(スタンド)という能力が発現する。
DIOの影響によって危篤に陥った母の空条ホリィを救うため、承太郎はジョセフらと共にDIOの潜むエジプトを目指す。

Part4『ダイヤモンドは砕けない

舞台は1999年の日本。ジョセフの隠し子の東方仗助の住むS市杜王町では、スタンド使いが増え続けていた。仗助の祖父は悪のスタンド使いの犠牲となり、帰らぬ人となる。意志を継いで杜王町を守るため、仗助と仲間たちは町に潜むスタンド使いと闘いを繰り広げていく。

Parte5『黄金の風

舞台は2001年のイタリア。DIOの息子のジョルノ・ジョバァーナ(汐華 初流乃)は、街を浄化するギャングスターになるため、ギャング組織「パッショーネ」に入団する。ボスを倒し、組織を乗っとるという野望を果たすべく、ジョルノたちは内部抗争が起こる組織でボスとの接触に挑む。

Part6『ストーンオーシャン

舞台は2011年のアメリカ。承太郎の娘の空条徐倫は、罠にはめられて刑務所へ収監される。承太郎は救出にやって来たが、徐倫をかばって仮死状態に陥る。
徐倫は父を救うべく、来襲するスタンド使いたちを退けつつ、この悪夢を仕掛けた見えざる敵への戦いを挑む。

Part7『スティール・ボール・ラン

舞台は1890年のアメリカ・サンディエゴビーチ。この地で世紀の大レースが開催される。
謎の鉄球を操る男のジャイロ・ツェペリと、下半身不随の元騎手のジョニィ・ジョースターは、それぞれの目的のためにゴールのニューヨークを目指す。レースの裏側では、国家が秘密裏に「聖人の遺体」を集めていた。

Part8『ジョジョリオン

舞台は2011年の日本・S市杜王町スティール・ボール・ラン・レースから120年後。大震災を機に隆起した断層「壁の目」で、広瀬康穂は記憶を失った謎の青年を発見する。「定助」と名付けられた青年は、謎の果実「ロカカカ」の謎を解き明かしながら、過去の自分を探す。

副題

現在使用されている副題は先述の通りPart6の執筆時に後から付けられたものであり、それまでは日本語で第○部と表記し、主人公名と副題が付けられていた。作者はPart3の執筆時から副題を付けるつもりであったが、既存のジャンプ・コミックスとの整合性が取れなくなるという理由で編集部から却下された[7]。こういう初期事情から、単行本(ジャンプコミックス)はParte5(63巻)までは副題が書かれておらず一貫して「ジョジョの奇妙な冒険」として刊行されており、部区切りも単行本をまたぐ。後の文庫版や廉価版などはPart・副題ごとに区切って刊行されている。

3部以降のサブタイトルには、主人公のスタンドと同様の鉱物・自然界の4大元素が含まれており、作者が意図して入れたもの[8]

これと同様に、単行本収録の際の各話の副題でも、Part1・2は雑誌掲載時のものがそのまま使われたが、Part3以降は副題を付け直し、「○○ その (1) 」のように1つの副題を何話かに分ける方式をとった。後にこの方式は、Part3以降との整合性からPart1・2の文庫版収録時にも採用され、各話の副題が付け直された。

英語表記の「JOJO'S BIZARRE ADVENTURE」も連載開始時から用意されており、たびたび使用されているが、Parte5[注 2](第5部)でのみイタリア語表記の「LE BIZZARRE AVVENTURE DI GIOGIO[注 3]が代わりに使用され、ジョジョの綴りが「JOJO」から「GIOGIO」に変更されている[注 4]

なお、『週刊少年ジャンプ』掲載時は「ロマンホラー!—深紅の秘伝説—」という編集部の考案した[9]キャッチコピーが添えられていたが、単行本収録時とPart6以降は削除されている。

世界観

現実世界の19世紀後半から21世紀現代までが舞台となっている。少数の吸血鬼や超能力者が存在するが一般には知らされていない。魂というものがあるとされるが、基本的に絶命した者は生き返らない。

イギリスの貴族ジョージ・ジョースター卿の血を引く一族が主人公であり、部ごとに主人公が代替わりする。主人公はいずれも「ジョジョJoJo, GioGio)」という愛称を持つ。ただし劇中でジョジョの愛称がよく用いられていたのはPart3初期までである。

Part1およびPart2は、波紋(はもん)と呼ばれる特殊能力を身につけた人間たちが吸血鬼や「柱の男」という人間よりもはるかに長命で強力な生物に立ち向かうという作品で、格闘戦が主体であった。

Part3以降は、スタンド(幽波紋)と呼ばれる精神エネルギーを具現化した能力を使う人間同士の戦いが基本となり、様々な能力があるスタンドの攻防が作品の骨子となる。最後の敵は時間に関する能力を持つ傾向があり、作者は「時間を支配できる奴がいたら無敵だろうな、どうやって主人公は勝つだろう、と思う」と答えている[10]

荒木作品の特徴としてよく「擬音」と「ポーズ」が挙げられる。擬音はヘヴィメタルホラー映画などから思いつき[11][12]、擬音によって「引き込まれる感じが違う」と答えている[13]。コミックスの表紙などで見られる「ジョジョ立ち」と呼ばれるポーズに関しては、20代の頃に初めて行ったイタリア旅行においてミケランジェロの作品に強い衝撃を受けたことをきっかけに、彫刻のように肉体を捻るポーズを自分なりに漫画の中に取り入れたかったと語っている[13]

他の特徴として、セリフの語尾に「ッ」「ッ!!」などをつけて口語強調することがある。セリフ回しは翻訳調と評価されることがあり、作者も肯定している[14]

ジョースター家・家系図

家系図はPart3・13巻で初登場して、14巻以降は単行本冒頭に掲載されている。Part4・5・6まで更新されつつ継続された。

Part8では3巻で初登場し、次第に詳細が明らかになっていく。15巻以降は単行本冒頭に吉良家・東方家の現在の家系図が掲載されている。

 

Part1 - 6



 
 
 
 
 
 
メアリー
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ジョージ・ジョースターI世
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(不明)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エリナ
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ジョナサン・ジョースター1
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ディオ・ブランドー
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(不明)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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(不明)
 
 
 
 
 
 
 
ジョージ・ジョースターII世
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リサリサ(エリザベス)
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スージー・Q
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ジョセフ・ジョースター2
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東方 朋子
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空条 貞夫
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ホリィ
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空条 承太郎3
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静・ジョースター
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東方 仗助4
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ジョルノ・ジョバァーナ5
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空条 徐倫6
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ウンガロ
リキエル
ドナテロ・ヴェルサス
 
 
 
 
 
 

 

 

Part7 - 8

 
 
グレゴリオ・ツェペリ
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ジョージ・ジョースター
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ブランドー母
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ジャイロ・ツェペリ7
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ジョニィ・ジョースター7
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ノリスケ・ヒガシカタ
初代 東方 憲助)Flag of Japan.svg
 
 
ディエゴ・ブランドー
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東方 理那
 
東方 憲助
(二代目)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ジョージ・ジョースター
(III世)
 
エリザベス
 
 
 
 
 
東方 憲助
(三代目)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ジョセフ・ジョースター
(仗世文)
 
スージーQ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
吉良・ホリー・ジョースター
 
吉良 吉輝
 
 
東方 憲助
(四代目)
 
東方 花都
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
虹村 京
 
吉良 吉影
 
東方 定助8
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東方 常敏
 
 
 
東方 密葉    
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
東方 鳩
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
東方 常秀
 
東方 つるぎ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
東方 大弥
 
 
 
 
 
 

ジョースター家の血統者に共通する特徴として、首の後ろや左肩の辺りに星形のアザがある(ただし、仗助のみ作中ではアザが確認できないが、アニメではアザが確認されている)。Part3でジョナサンの胴体を奪って復活したディオ(DIO)にもアザがあるため、ジョナサンの子孫にスタンドの影響を起こした。さらにディオの子であるジョルノ(Parte5・主人公)とヴェルサス他2名(Part6・敵)も星形のアザを受け継いでいる。DIOの骨から誕生した緑色の新生物、それと融合したプッチ、血縁者のウェザーなど、星のアザとスタンドは血に影響する。星のアザを持つ者同士は、お互いの存在をなんとなく感知することができる。

Part8の東方定助にもアザがある。設定がリセットされたPart7以降のジョースター一族にも星のアザがあるようである。

ジョースター家の男性はほとんどが高身長かつ頑健な肩幅など、恵まれた体格を持つ。イギリス貴族のジョージI世やニューヨークで不動産王になったジョセフ、マフィアのボスまで上り詰めたジョルノなど、社会的に誰からも信頼されてトップ水準の地位を得るが、家族関係は薄幸。性格は好奇心旺盛で、旅行好きである。

ジョースター家の男子には「代々短命である」というジンクスがあるとされ(12巻)、ジョージI世、ジョナサン、ジョージII世の三代続いていたが、ジョセフが破っている。また「生涯1人の異性しか愛さない」ともされていたが(13巻)、こちらもまたジョセフが破り非嫡出子の仗助をもうけていたことが判明する。代をまたいで、結果的には承太郎はジンクスに当てはまっている。

作風

連載期間は30年を超える「ジョジョの奇妙な冒険」であるが、基本的な作風は一貫している。

しかし作者の荒木は2020年のインタビューにて、「若い頃は迫力を追求して、力業で描いたりしている。でも、年齢を重ねると余裕が出てきた。若い頃はビートが激しいけど、今はゆったりした、夜のジャズのような絵を描いてみたいとか、そういうのはある」と語る[15]

キャラクター作り

荒木は「『ジョジョ』はキャラクターを決めて、そこにストーリーがついていくような作り方をしている。今回は今回、来月は来月っていう作り方で、キャラクターだけが動いていく」と語る[15]
また著書『荒木飛呂彦の漫画術』では、キャラクターを形作っていく際に何十もの項目からなる「身上調査書」を作成していることも明かしている。

キャラクター・スタンドの名前

登場人物およびスタンドの名前の多くは洋楽のミュージシャンやグループ名などから引用したものである。例えば各部の主人公たちの通称である「ジョジョ」の由来は、ビートルズの楽曲「ゲット・バック」の歌詞に登場する人名「ジョジョ」から引用されている[16]。荒木はこれについて「ロック大好き。ロック少年だったから。で、バンドから名前を借りたんだけど、ルールがある。バンド名とキャラ(名前や設定、能力など)がマッチしていないとダメなんだ。だから、敵だったり味方だったりというのは、そこに理由がある」[17]と説明しており、Part3Part4のようにコラムで公表されたり、先述のジョジョ吉良吉影岸辺露伴のように、対談の中で荒木が回答している例もある(詳細は各項目を参照)。
また、キャラクター名として、Parte5ではイタリア語の食材名、Part6ではファッション関連のデザイナーやブランドの名前に因んだ命名も散見される[要出典]。また「スタンド」という呼び方はベン・E・キングジョン・レノンで知られるミディアムバラード曲「スタンド・バイ・ミー」から取られたことが筆者本人から明かされている。

ファッション

荒木は作中のファッションについて、「いろんなところにデザインがあるので、それを持ってきたいなって思います。特定のアーティストというのはないですけど、男性女性区別なくとり入れているというか、男だけど花柄にしたりとか、そういうのが楽しいので。あと、機械の一部分だけデザインがいいなって思ったりすると、(キャラクターの衣装などに)描いてみたりしますね」と語る[18]

カラーリング

荒木はその独特の色使いについて、「ポール・ゴーギャンが砂浜の色をピンクに塗っていたのが、子供のころから魅力的だと思っていた。何色で塗ってもいいんだ、と」と語っており、アニメの制作の際に「主人公の(東方)仗助は何色ですか?」と聞かれたことに対しては「何色とかない」というのが自身の答えであるとしている。カラフルな絵を描く理由は「色と色を組み合わせる時に驚きを感じるときがあり、それが楽しい」からだという[19]

ジャンプでの掲載

週刊少年ジャンプ』掲載時の掲載順は、看板作品のように常に前の方ではなく、良くても中間、時には最後尾になる時もあった。巻頭カラーになることが少なかったが、単行本の売り上げは順調であったため打ち切りにならなかった。Part3(28巻)までは椛島良介(現新書編集長)編集者が担当し、28巻の巻末で荒木がコメントを寄せている。
編集部からは『ジョジョ』以外の作品を描くことを薦められているが、作者は「何を描いても『ジョジョ』になってしまう」[20]「もう『ジョジョ』しか描かないし、『ジョジョ』しか描けない」[21]と発言している。また、雑誌のインタビューで、2004年の時点でPart9(第9部)くらいまでの構想があるとも語っている[22]

トーナメントとインフレの否定

荒木は1980年代ジャンプの大ヒット漫画を評価している。その一方で、主役も敵もどんどん強くなっていくと際限がなくなるという課題に行き着いた(このような漫画はバブル時代の産物、とも評している)。だからといってマイナスや停滞にすると、読者にうんざりされるということもPart1序盤での経験でわかっていた。そこでPart3は、日本からエジプトに向かい、道中で敵と戦って前進していくという形式にした(トーナメントではなくスゴロク、と喩えている)。強弱さまざまなタイプの敵を出しつつ、最後には最強のDIOが待ち受ける。Part3は大団円を迎え、Part4に続くも、Part4の敵は「DIOより強い」とはならない。

悪役観

数多くの敵役・悪人が登場し、主人公たちと戦う。これらの敵は無関係の人たちを巻き込んで殺傷するが、怪物や超能力者であるため、社会正義で逮捕したり裁いたりすることができない。主人公の行動原理も、正義の「心」であって、社会正義ではない。現実のように、社会正義には腐敗や裏もある。悪人や犯罪者ほど吸血鬼やスタンド使いの素質があるともされる。敵キャラクターや悪役について、作者は「本当に強い人っていうのは悪い事はしない」「弱い人間がその弱さを攻撃に向けたときが一番怖い」と述べている[23]
また荒木は、「悪役のほうが自由。主人公は読者の共感を得なければならないし正しいことをしなければならないが、悪役は自由にしてよい。悪役の理論、哲学があり「貫いている悪」だと、「いいな」となる。それがないとただの悪党」とも語る[19]

初代編集者の影響

初代担当編集者は椛島良介で、デビュー前の原稿持ち込みから、Part3完結までの10年以上の間ずっと担当であった。Part3最終巻(28巻)ではスペシャルサンクスとして言及されている。79巻(Part6終盤)では、『ジョジョ』という作品は彼の意見と影響があまりにも大きく、違う編集者に会っていれば違う作品になっていたであろうとまで語っている。『JOJOVELLER HISTORY』にて2013年・Part8までの歴代編集者全員へのインタビューがあり、特に初代とは対談も収録されている。

作中での矛盾

作中で度々大きな矛盾が生まれたり、設定がいつの間にかなくなっていたりする。特にシーザー・アントニオ・ツェペリの存在自体に関わる重大なミスに対しては、単行本4巻でそのミスを修正するとともにあとがきにて「おとなはウソつきではないのです。まちがいをするだけなのです…」と弁明している (Part1 - Part2)。

アニメーション

週刊少年ジャンプ』連載中にはテレビアニメ化はされていない。1993年にはPart3がアニメ化されたが、これも「Part3の後半部をダイジェストで」「OVAとして」という異例の企画であった。テレビアニメ化には荒木は、2003年の対談の中で「たぶん、子供に見せるマンガじゃあないんで、(それは)ないと思いますけど」と答えている[11]。Part3OVAは「前半部」が遡って作られ、2007年にはPart1が劇場アニメになった。2012年からはPart1・2から順にテレビアニメ化が行われている。
Wikipediaから引用)